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診療というサービス ~研修室はお金を直接生まないが別のものを生んでくれます~
~患者様とのコミュニケーションで気をつけていることはどのような点でしょうか~
松本 以前は矯正というとお子さんの患者様が多かったのですが、現在では成人の患者様が8割程度を占めています。最近ではセカンドオピニオンを求めて来院される方も増えました。特に注意しているのは他院を誹謗しないことです。色々な考え方、治療方針があることを踏まえてご説明するようにしています。
当然のことですが、患者様の主訴やご希望などを注意深くお聞きしながら、その場でカルテに記載するようにしています。患者様は目の前で書いているのをご覧になって「理解してもらえた」と安心されるようです。
【医院スタッフ】
院長の米山和伸先生(中央・松本先生の左隣)をはじめ、
「美しい歯並びは幸福へのパスポート」をモットーに、
よりよい治療を目指して診療を行っている。
【J-シート】
ホウレンソウを分かりやすく記入できるよう工夫がされている。
スタッフの手作り
~院内で定期的に行われている会議や勉強会はありますか。~
まず、毎朝ドクターが集まって症例検討会を行っています。難症例、問題症例については随時、夜にも行います。スタッフミーティングは毎月一回、J-シート(情報シート)に基づいた報告・連絡・相談の確認、問題点の検討など意見の疎通を図っています。
整美会で特徴的なのは、整美会のOBによるアルムナイミーティングを行っていることだと思います。大学の同門会が多い中、開業医の同門会は珍しいことですが、父の代から在籍された関星良先生はじめ、多くの先生方と旧交を温める貴重な会合でもあります。また、患者様を通してお付き合いのある先生方との交流を目的とした年一回のサタデーナイトミーティングも40年以上続いております。「継続は力なり」です。
移転前には診察室の隣に30人座れる研修室がありました。シャーカステン付きのデスクを設け、受講者がいつでも勉強に来て当院のドクターとも交流し、相談できるスペースです。「地価の高い新宿にお金を産まない研修室を作らなくても・・・」というご意見もありましたが、研修室は直接お金を生まなくても別のものを生んでくれます。勉強を重ねていい治療をすれば患者様の信頼を生み、新しい患者様の紹介につながります。今では以前の患者様がお子様を連れて診療にこられることも多くなりました。「患者様は最高の師である」という言葉がありますが、まさにそのとおりだと思います。
現在の米山和伸院長は九州歯科大学を昭和50年に卒業後、直ちに入局され、持ち前のバイタリティーと努力で勉学研鑽を重ねて、昭和63年に院長に就任、爾来、一貫して整美会とともに歩んで前進の原動力として貢献されています。
【profile】
松本圭司(まつもと けいし) 歯学博士
医療法人社団日本整美会
整美会矯正歯科クリニック理事長。
昭和31年東京歯科大学卒業。
初代院長松本茂暉ならびにDr.Wallace Bellに師事。米軍ジョンソン空軍病院にて研鑽。アメリカの数多くの著名な矯正専門医のセミナーを受講し習得。特に昭和52年にカリフォルニアで受講したDr.Robert Rickettsには大きな影響を受ける。昭和42年に新宿に整美会矯正歯科センター開設。診療に携わりつつも慶應義塾大学医学部講師、日本臨床矯正歯科医会会長などを歴任。平成19年11月に現在の場所に移転、院名を改称した。
「貴重な所蔵本として」ご紹介いただいたのは、松本茂暉先生が昭和8年に発刊された「矯正学報」の第1号から22号(昭和16年に第二次世界大戦で休刊)です。それらの中の「歯列矯正治療の話―健康及び美貌となる近道―」という、今でもそのまま通用しそうなタイトルの小冊子が、驚いたことに国立国会図書館に保管されていたことが最近になってわかりました。そのカラーコピーは、常に手の届くところに置かれています。
その冊子からは、世界がまだ遠かった時代に海を越え、矯正治療法を持ち帰った茂暉先生の情熱を感じます。その情熱を受け継がれた松本先生にとっても、この「矯正学報」は診療・研究の原点なのかもしれません。